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2012年10月13日 (土)

『宇宙戦艦ヤマト2199』その旧作補正と挑戦〜私のように続編を拒み続けた人に〜

Spacebattleshipyamato_01

 やっと、やっと出逢えました。

『違う、これは今までの上っ面ばかり真似た名ばかりのヤマトとは違う!この、このヤマトこそ38年間待ってた本物の、真のヤマトの魂を受け継いだリメイクだ』そう直感しましたね。

 そう確信したシーンは、どうという事のないワンカットでした…。
 

 第一話冒頭、地球軍最後の宇宙艦隊が異星人ガミラス艦船の強力な主砲の射程内に入る。

 地球とは格段の科学技術力を持ち、向かうところ敵なしのガミラス艦からの降伏勧告を受け「返信はどうしますか」と通信士に尋ねられた艦隊提督の沖田艦長は「バカメ、と言ってやれ」と返す。

 旧作でも屈指に数えられる名場面・名台詞です。

 しかし旧作では通信士は無感動にあっさり実行、そして敵の猛烈な攻撃の火蓋が伐られるんですが、今作ではその通信士、沖田の指示を聞いたあと、口元を“ニッ”とほころばせるんですよ。

Spacebattleshipyamato_02

 まさに(そうこなくっちゃ、俺達の艦長じゃねぇよ)とばかりの男臭い反応です。
 たったこの一動作で、彼もまた、沖田とこれまで数々の苦戦を共にしてきた兵士の一人であろう事が窺えるのです。

 そして「地球艦隊より返信。ばかめ!」と送る声は、その台詞のままに鉄の意志で敵を見据える沖田の表情のアップにかぶる、という心憎いばかりの演出。
 しかしこの直後、地球艦隊の攻撃をものともしないガミラス艦の反撃に、なすすべもなく艦隊は全滅の憂き目へと───。

 もちろん旧作を観尽くしての比較で初めて気づくマニアックな部分ですが、芝居の流れとしてもコレがあると無いとで雲泥の差。まさに“あ。この作り手は映画というものがよぉく分かってるぞ♪”と嬉しくなってしまいましたね。

 昔と違い、デジタル化されたお蔭で“作画枚数の制限など今では撤廃されたのか!?”と思うほどに、その辺の足かせが緩んだ事も大きいでしょうが、何と言っても実写と違って、“描こう”“こんなふうに動かそう”としない限りピクリとも動かないのがアニメです。

 ありとあらゆる動きはすべからく、監督なりアニメーターなりの意思によって動かされた、『動画による演技』すなわち動演なのです。

 もちろんそれだけではなく、様々なシーンでふとした表情、なにげない目線の配り方にいろんなキャラたちの思惑が表現されています。
 とにかく旧作では見送られがちだった映画的演出がそこかしこにしっかり描かれている。
 宇宙艦船が爆発するシーンでも、ちゃんと艦には骨格部分と外殻があって、その強度の違いからいびつなふっ飛び方をするという“常識”に則った描き方がなされている。

Spacebattleshipyamato_03

 74年当時としてもメカの操作手順や動作にはそれまでになかったコダワリの部分がいっぱいあったのですが、今作ではそれに必然性が加わっています。
 この辺が情報に長けた現代のメカファンを唸らせる。

 旧作当時では、実物のジェット機などの細部はもちろん、カタパルトや格納庫など軍事機密的な場所や部分まで知る事は、関係者以外にはかなり困難でしたし、何より作画枚数と時間の関係から動画での再現はおそらく旧作の状態でも大変な苦労があった事でしょう。

 そして新作では豊富な知識と情報だけでなく、創作面としても若い頃から大先輩のアニメーターたちでさえ舌を巻かせた緻密な未来メカを数多く手がけてきた出渕裕(いずぶち ゆたか)監督の手腕がそこここに光ります。

 さらに、旧作では矛盾点の多かった設定を徹底的に見直す事で様々なリアリティを付与しています。
 その代表格が艦橋と戦闘機格納庫、そして機関室。
 広いのか狭いのか、でかいのは分かるけどありえない奥行きや高さだったのがほぼ是正されたお蔭で、シーンを追って行くとまるで本当に艦内をうろついているような気になってくる。

 また、たしかにそういう点に気を配って演出もなされているように感じます。
 逆に言えば、本来映画というのはバラバラの撮影地でなされた場面を編集によってあたかも一箇所で起こっているかのように構築したり、逆に同じ場所なのにアングルや大道具の配置を変える事で異なる場所に見せかける技術に長けている事はご存じの通り。

 ですがアニメでは描くという苦労さえ厭わなければ何でもできるからこそ、設定と見せ方をきっちり計算しないとチグハグになっていくのです。
 繰り返し観られるなら、そういう視点で鑑賞してみると予測でも艦内地図が描けるかも知れません。

 さて肝心の物語ですが。

 ある日突然、科学力に於いて地球をはるかに凌ぐ異星・ガミラスから攻撃を受けるようになった地球。無差別で容赦ない徹底した攻撃に、都市はもちろん自然さえも消滅し、蒼かった地球の海は干上がり、わずかに生き残った人類は放射能汚染から逃れるために地下深くに都市を造り続けながら辛うじて最後の抵抗を続けていた。
 唯一の希望は、イスカンダルと名乗る別の異星からの使者がもたらした恒星間航行の技術、そしてそれを装備した唯一の宇宙戦艦、ヤマトだった───

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 こうして2012年10月12日まででリリースされている6話は大筋で旧作をなぞっています。
 しかし、旧作を熟知している方なら既にその大きな差には気付かれているでしょうし、それはそのまま『宇宙戦艦ヤマト2199』の結末が旧作と異なって行くであろう事が容易に予想されますね。

 ええ、ご安心ください、ネタバレは大丈夫ですよ。

 このブログ最大のポリシーは『ネタバレせずに魅力を解説すること』ですから、口が裂けても申しません。
 しかし“それ”が分かった瞬間、私は監督の手腕の見事さに感嘆しました。
 同時に、最初に申し上げた「この作品こそ」というトキメキが確信に変わった瞬間でもあります。
 お気付きになった方には、これだけは申し上げても差し障りないでしょう。小さな小さな変更点です。
 でもそれはさながら大気圏突入の角度が数秒、いやもっと少ない角度の修正なんですが、それによって着陸点はとんでもなく遠いところへと変わる事になるはずです。

 (そしてもし、私の読みが全て正しければ、もっと驚くべき結末になるはず…ですが、果たしてそこまで原典を変更するかといえば深読みかも知れない、という迷いもありますが。)

 もともとは旧作の無理な部分の是正───辻褄を合わせる───アイデアに端を発するのかも知れませんが、これこそ『宇宙戦艦ヤマト2199』がトレースリメイクでなく、旧作の過不足を補ってあまりある優れた新作としての『挑戦』である事は間違いありません。

 私は1974年に初めて観た時から、宇宙戦艦ヤマトという物語はSFと呼ぶよりも、戦争を軸にして反戦を叫んだ群像劇だと思ってきました。
 だから古代や島、沖田たち主要キャラだけの物語ではなく、本来は敵味方も関係なく戦いに臨み関わった全ての人物たちを描きたかったのではないかと。
 しかし放送にはワクがある。まして38年も昔の、今以上に世間に対して市民権を持たず“テレビまんが”と呼ばれ低く見られていた時代のアニメです。

 でも今作の成り立った条件は、当時からすれば夢のような文化的・技術的、そして財政的立ち位置にあります。
 最初にご紹介した通信士のように、旧作では描き切れていなかった登場人物たちの背景、それもほんの端役に過ぎないようなさまざまな登場人物に至るまで、高度な動演によってしっかりと感じさせてくれるであろう事も期待できそうです。

 旧作でも、サブキャラにスポットライトを当てた挿話を通じて、全体の話を人間ドラマ側からの切り口で観せたエピソード回も何話かありましたが、一話一完結の方式を採ると、名作であっても全体からは浮き上がりぎみになってしまい、外伝的な印象になるのは仕方ありません。

 そういう点で今シリーズでは、もっと一連のうねりのような流れの中で、撚り込まれた何本もの物語の糸の一本として自然な繋がりとして構成されていけば理想的な群像劇になるのではないか───。これも期待のひとつです。

Spacebattleshipyamato_04

 さて、いよいよ第三章、ヤマトは太陽系を離れて大マゼラン雲を目指します。
 そして旧作ではサブキャラにスポットライトを当てたエピソードでもある。どう見せてくれるか、楽しみです。

 では、また、お逢いしましょうね。

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投稿: ぐるなびアフィリエイト運営事務局 | 2013年1月18日 (金) 19:11

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