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2009年11月11日 (水)

『レッド・サン』渋い!痛快!個性派三人の激突。

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 渋いです、カッコイイです、オットコ臭いです!!
 嬉しいですねえ、この作品ともう一度逢えるとは!もうセルもレンタルもないんですよ。
 勿体ないですねえ、惜しいですねえ。こぉんな面白い映画なのに。

 最後に放送された時も昔々、それも昼間の奥様向けの時間帯でしたか、放映されたには違いありませんが、もうカットカットでぼろぼろでお話もなにもあったもんじゃなかった。

 でも大丈夫、NHK-BSがとりあげて放映してくれます。次回は2010年1月31日(日) 午後1:00~午後2:55 。

 西部劇好きのあなた、アクション好きのアナタ、オットコマエがたまらん貴女、渋ぅ~いおっちゃんが大すきな、あ・な・た。
 そう、そこの、あなたです。ほらほら、知らん顔しないでくださいよ?
 これ、観なかったら絶対後悔しますからね!でもまずは、私の解説、読んでくださいね?


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 お話は幕末。日米の親善大使として派遣された日本の侍の一行が西部の荒野を列車で移動中、A・ドロン演じるゴーシュとブロンソン演じるリンク率いる強盗団に襲われ、将軍から大統領に贈られるはずの宝刀もろともに奪われてしまうが、リンクは相棒であるはずのゴーシュの裏切りにあって殺されかけ、取り残されて捕まるハメになる。
 上役は腕が立ち信頼する三船演じる黒田重兵衛に宝刀の奪還を命じるものの、大統領との謁見まで七日間の猶予しかない。
 黒田は隙あらば逃げだそうと目論むリンクを伴ってゴーシュの追跡に移るが───

 カネと名誉と沽券(こけん)、さらに強烈な個性と奇想天外な脚本とユーモアたっぷりの演出に世界を代表する三人の男臭い俳優という、いくつもの三つ巴が重なった異色傑作西部劇です。

 公開当時は異色作と騒がれ、今ふうで言えば“ありえない”豪華な競演、すばらしい脚本。

 1971年当時まだ私は小学生でしたが、日本でも大騒ぎでしたねえ、世界のミフネがあの!ブロンソン、あの!世紀の色男アラン・ドロンと共演する映画!しかも西部劇!? どんなんや!みたいなね。
 もちろん今みたいにネットもないし、テレビの芸能番組も今ほどかまびすしくない時代です。映画の情報と言えば『スクリーン』『ロードショウ』の二大映画雑誌。
 『キネマ旬報』も忘れてはいけませんが、あれは別格。あいにくガキンチョだった私には活字だらけで難解でマニアックすぎましたんで手に取ったこともありませんでした。

 いや、当時はキネマという言葉が映画のことだとさえ知りませんでしたからね。

 今でこそ日本の俳優がハリウッドや世界の大スクリーンに登場するのも珍しくなくなってきていますが、この当時、いや、この時代からずっと最近まで、アメリカで日本の映画スターといえば“トシロー・ミフネ”だったんです。
『羅生門』『七人の侍』で“クロサワ”と並んで記憶されメジャーになったとはいえ、やはりこの人の貫禄、存在感は群を抜いているんですね。俳優としてももう、別格。その証拠とも言えるのがこの作品。
 なんせこの方は世界中から押し寄せる出演依頼を、日本人のプライドにかけてそれを揺るがすような出演作は頑として断り続けたというツワモノだというのは当時誰もが知ってました。
 その人がついに外国映画に出演するというので日本中、いえ世界中がワッと沸いたことは言うまでもありません。

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 また共演がものすごい。当時男臭さの代表格だったチャールズ・ブロンソン。
 もお、マンダムのCMと言えば伝説です。当時毎日どれだけ流れ、その仕草を子どもたちがみんなマネしたことか。
 この人の出世作が七人の侍のリメイクである『荒野の七人』というのもなんか運命的ですが、撮影当時三船敏郎さんと共演することになってどんな気分だったんでしょうね。心の師・淀川長治先生なら絶対になにか裏話を聴いておられたことでしょうが、私が読んだ限りの先生の著書では記述を見かけていません。

 そして世紀の二枚目、アラン・ドロン。
 彼もDURBAN(ダーバン)という大丸百貨店のスーツブランドの渋いCMでシリーズ化され、長い長い間、全国的にオンエアしてました。わが心の師、淀川長治先生の日曜洋画劇場のスポンサーでもありましたから、全国通津浦々まで知らない人は居ない。
 もうね、当時の人気はものすごかった。なんせ男のクセに中年になってもいつまでも綺麗でしたからね。ブラピがなんぼ有名でも残念なことに美しく見えたのは若い時だけです。デップも名優ですが美しいわけではない。なのにドロンはいまや老境なのにそれでも今なお美しい。

 この人は今も当時も世界的なフランスの大スターですが、昔聴いたところでは日本での人気に比べて当のフランスではそれほど高く評価されていない…といわれていた記憶があります。マユツバですけどね。
 といっても、彼がまだ30代だったこの頃はジャン・ギャバンだのジャン・マレーだのといったサイレント時代からの歴史的な名優がまだまだ現役だったのと、彼のあまりの人気に対する誰かさんのやっかみのせいだと思っていますが。
 でもこの映画がきっかけかどうかは判りませんが、アラン・ドロンは三船敏郎を兄と尊敬し、有名な彼の香水ブランド『SAMOURAI』は三船敏郎をイメージしたものだそうですからよほど心酔していたことが伺えます。


 さてそんな組み合わせなんでこの映画、なんとフランス・イタリア・スペインの合作なんですね。カテゴリーとしてはフランス映画。だから原題も『SOLEIL ROUGE』ソレイユ・ルージュ。レッド・サンのフランス語。
 ですからスタッフのほとんどはフランス人。さすがに西部劇の形を採ってるためか監督は『007ドクター・ノオ』『暗くなるまで待って』『アマゾネス』のテレンス・ヤングを招いて制作されました。
 撮影はアンリ・アルカン。もちろんフランス人ですが『ローマの休日』『ベルリン・天使の詩』を捕った事でも知られる国際派です。これだけいろんな国の人が一緒くたになると大変だと思うんですが、この作品では逆にそれぞれの良いところがちゃんと前に出てきていますよ。
 音楽もフランスのモーリス・ジャールなんですが、主題曲にはの~んびりとオカリナを使って独特な雰囲気を出しています。このへんもヤンキーとは違うぞ、という心意気みたいなのが見え隠れして楽しい。

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 日本の武士たちの服装や立ち居振る舞いがきちんとしてるのも多分、三船さんがそうした事もいい加減にしないよう契約事項に入れさせていたと考えられますし、現場スタッフがそれを聞き入れているんでしょうね。
 作中に出てくるシーンは荒野とかそーゆーイカニモ西部劇風な場所ばかりですが、フランス映画だと知らなければフランス映画だなんて思わない。まあマカロニウエスタンもそうですけどね。
 もしかしたら日本文化の表現のように、アメリカ人スタッフたちの「ウエスタンとはこうだ」みたいな意向もちゃんと反映された結果なのかも知れません。
 しかしビジュアル面でもしっかりフランス色を出している。いわゆるカウボーイ姿のドロンも彼ならではの出で立ちで実にお洒落。白ベストと黒い革手袋はともかくも、黒のスーツ、アスコットタイ。西部ですよ、ホコリだらけの荒野ですよ?帽子のツバもヒネリ方からしてなんともいなせ。さすがフランスの伊達男ここにありといった存在感ですわね。

 ブロンソンのホコリまみれのジーンズ、ジャケット姿もまた実に彼らしい。まんまマンダムやなあ、と当時も今見ても思います。この人は本当にテンガロンハットがよく似合う。
 逆に言えば彼が出ていることで西部劇として締まりが出て、成り立っていると言えます。

 ヒロインとして初代ボンドガールのウルスラ・アンドレス(当時はアーシュラ・アンドレスと呼んでましたね)が出演しているんですが、ぶっちゃけ男の映画という印象しか持ってない私にはほとんど記憶にございません。

 テレビ放映ではドロンは野沢那智さん、ブロンソンはもちろん大塚周夫さん。わからないのが三船敏郎さんを演じていた声優さん…というのは、三船さんは劇中で英語でブロンソンと話しているんですね。
 新録版と言われる方では周夫さんの息子さんの大塚明夫さんが演じているそうですが、彼は私とひとつほどしか違わないので昔の方が判らない。ぜひどなたか情報ください。

 でも今回放送される国際版は英語ですが、どうやら本家のはフランス語らしいですので、どのバージョンで観ても誰かが必ず吹き替えになっている、ということなんでしょうかね。
 当たり前と言えば当たり前かも知れませんけど、実に不思議です。撮影時はどうしてたんでしょうね。この辺も興味深い作品です。
 トム・クルーズの『ワルキューレ』が全編英語なんで違和感感じた方も多いと聴きますが、字幕に抵抗感のある欧米人は多いとか。昔から“発信する側”だったからでしょうかね。


 真田広之・竹中直人主演の『イースト・ミーツ・ウエスト』や『スキヤキウエスタン・ジャンゴ』などの異色ウエスタンの元祖と言っていいこの作品。映画好きなら絶対に観ておかないと名折れですよ!!

 
 では、また、お逢いしましょうね。

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 最後まで読んでくださってありがとうございます。ちなみに私───
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コメント

三船敏郎は、美味しいところをしっかりさらっていましたね。この映画を観ていたので「ブラックレイン」の高倉健の役どころは見劣りした記憶があります。
日本人の活躍した西部劇というと「野獣暁に死す」の仲代達矢、「5人の軍隊」の丹波哲郎も懐かしいですね。

投稿: samurai-kyousuke | 2009年5月 7日 (木) 18:24

samurai-kyousukeさん、毎度です!
「野獣暁に死す」「五人の軍隊」…いずれも観てません、てかタイトルも知りませんでした。ネットで調べてみましたが、やはりかなり珍しい部類のようで…
ちなみにブラックレインも未だに観ていません。じつは松田優作とヤクザ映画が昔からあまり好きでなくて。
だから高倉健が「ええなあ」と思って彼目当てで観るようになったのは『駅』からだったりします。

投稿: よろ川長TOM | 2009年5月 8日 (金) 17:16

自分も映画大好きなもんで、楽しく読ませていただきました。関西出身で年齢も近そうですね。うちのホームページのブログ欄で映画や旅を取り上げていますので宜しかったらご覧ください。ブロンソン、レッドサンは2009年4月前半に掲載しています。

投稿: 舞北巣 | 2010年3月 2日 (火) 01:56

舞北巣さん、はじめまして&いらっしゃいませ!
お返事が遅れて申し訳ありません。
ご紹介くださった貴サイト、拝見しました。荒野の七人を観て、『ウエスト・ワールド』が観たくなってしまった私はやっぱりアマノジャクなんでしょうねえ。
これからもよろしくお願いします!

投稿: よろづ屋TOM | 2010年3月18日 (木) 01:10

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今回は三大スター夢の競演ということで、三船敏郎、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロンの三人が共演した1971年公開の「レッド・サン」について少し。 物語は1870年のアメリカ西部、騎兵隊に護衛された列車がボスのリンク(チャールズ・ブロンソン)と相棒のゴーシ... [続きを読む]

受信: 2009年5月 7日 (木) 17:59

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