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2008年1月 4日 (金)

『電脳コイル』少年ドラマシリーズの再臨!こんなSFを待っていた!

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 はい、みなさんこんばんわ。
 今回もアニメのご紹介ですよ。最近の映画はなかなか感動をくれないんですが、アニメではほんとに秀作が多いんですよね。映画界、もっとがんばってくださいよ。

 NHKで放送されたアニメの『電脳コイル』もそのひとつです。
 電脳、なんて聞くと、さも『攻核機動隊』とか『マトリックス』みたいなものすごいメカメカちっくでサイバーな世界が舞台のお話だと思うでしょう?はい?サイバーってなんだ、サンバなら踊れるけどって?じゃあひとりで踊ってなさいよ。
 そこのSF好きなあなたならお分かりですね。うん、ネットゲームの世界で起こる出来事とかだろうって?
 はい、まあ間違いではありません。だけど、たぶんあなたの思っているようなお話ではないんですよ。
 では、どんなお話なんでしょうね──────?
 


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 まずオープニングを見ただけで、タイトルから想像した世界とはまったく異なる雰囲気に驚きます。まず、その絵のタッチ。ずいぶん泥臭いんですよ。
 いや、スタッフの方には失礼なんですが、ジブリ系といいますか、じつに単純な線と色の塗り分けなんですね。昨今はやりのハイブリッド系雑誌やコミック原作のキャラクターデザインからすればものすごく古い。
 最初見たとき主人公が地味でちっとも可愛く見えなかった。
 しかも背景に描かれている風景はみな昭和50年代あたりから今の日本となんらかわらない風景───近代的なビルが建ち並ぶ都会があるけれども、昔ながらの平屋木造家屋がひしめく下町があり、ところどころ板塀で囲まれた空き地やら神社もある景色。───で、最初の数話パッと見の感想は『電脳トトロ』。

 面白いのは、画面全体の色使いがすごくロートーンなこと。
 演出上、あえてレトロな雰囲気を出そうと考えられたのか、ビビッドな色が皆目使われていない。オープニングの主題歌が哀しげなだけに、一見すると陰気くさいんですが、かといって過去画像の象徴的定番であるセピアカラーなのかといえば、そこまで褪せた色合いでもない。
 これは私の勝手な想像ですが、昭和のニオイのある昔っぽく郷愁のある画面には見せたいけど、昭和ショーワした古さまで行って欲しくはなかったからではないかと。

 そんなわけで、電脳なんてタイトルなのに登場するシーンに遊ぶ子供たちは戦後昭和の風景とほとんど変化がないんですね。おっかけっこしていたり、悪ガキどもがつるんでなにやら怪しいグループを作ってはなんとかゴッコに興じている。

 ただし、おおきく異なるのがグッズ。
 オトナの大半はもちろん、子供たちまでもがみ~んな、例外なくゴーグルだのメガネだのをかけているんです。これが通称『電脳メガネ』といって、この何の変哲もなさそうな純日本風の世界をサイバーな物語に作り上げているすごいアイテムなんですね。

 簡単にはしょってしまえば、舞台となる街というか都市空間そのものが国家規模の巨大な容量と能力を持ったサーバーに無線で常時繋がっているのです。───といっても昔のSFみたいにコンピューターに支配された世界とかではなく、今のGoogleやYahooを超進化型にした情報ネットワークの端末がこの『電脳メガネ』なんですね。

 使い勝手の感覚としては現代の多機能型携帯電話と同じ。
 ただし、メガネの形態を採っているので使っている人にだけ見えるようなバーチャルな画面を空中に表示できるのがミソ。まあ、ゴーグル型ディスプレイは20年くらい前にPioneerあたりから初代が発売されてるし、今も『iTheaterV』なんてのがあるので概念自体は別に珍しくはない。

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 これにバーチャルキーボードの機能も加わり、サーバーを通じてさまざまなアプリを使ったり、使い手の能力によってはバーチャルコンピューターとしてハッキングまで(!)もちろん、フツーに携帯電話としても使えるわけです。
 そして現実の世界にシンクロさせた電脳マップがあり、メガネを掛けていれば現実世界に重なった別の画像が見られるという趣向になってます。

 うまいのはこの“ちょっと踏み出せば簡単に現実化しそう”でいて、どこかまだ空想の域を出ない“夢の◯◯”的な匙加減。これこそがこの作品をググッと秀逸なSF作品にのし上げているのです。
 しかも、主人公たちは小学校6年生。思春期にかかる子もいればまだまだお子ちゃまなまんまの子もいる年代であり、これはかつてのNHK少年ドラマシリーズの意図したターゲットの年代ではなかったでしょうか。
 ちなみに主人公が飼っている電脳ペットの名前が“デンスケ”。70年代のオーディオマニアが聞いたら涙もののネーミング。

 お話は、主人公のヤサコこと小此木優子(おこのぎゆうこ )がよその街から引っ越してくるところから始まります。そこに住む個性豊かな仲間たちや、怪しい行動ばかりする謎の少女との出逢いからヤサコはいろんなことを学び、同時にこの世界の大きな謎にふれてゆきます。

 とにかく上手いなあと毎回感心するのが、実に無理のない近未来描写なんですね。
 得体の知れない食べ物やらガラクタそのもののオモチャを売っていた昔の駄菓子屋のように、もーかってるんだか生活できてるんだかも不明な怪しいバーサンが店番している、これまた役に立つのか立たないのかワケの分からん用途不明な数々の電脳グッズを売る“めがしや(じつは主人のオババはヤサコの祖母)”と、子供たちの間だけで価値観が上がったり下がったりする不思議な物質が流通してたり、はたまた学校の七不思議・トイレの花子さんならぬ、“あっちのミチコさん”の存在、どうして存在しているのか謎の多い空き地、危険な筈なのに割と簡単に忍び込める廃工場、ありきたりなのに、覗けば別の世界がかいま見られる壁や塀に開いた穴。

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 “古い空間”と呼ばれる、電脳メガネでしか認識できない謎の霧のたちこめる路地、電脳的に違法なグッズを持っていたりするとどこからかやってきてそれを破壊しようとする巨大な顔つきタラコのような電脳怪物サッチーなどなど、どれもみな妙に懐かしさというか、幼い頃の記憶にシンクロしそうなものばかり。

 そう、古い空間ってのは子供が自分たちなりに勝手に決めつけた“行ってはならない場所”だったり、商店街の足もとに埋め込まれた色タイルで“これを踏んだらダメ”みたいな結界だったり、そしてサッチーは危ないことをするとどこからか大声で怒鳴って叱ってくれた“コワイおっちゃん”なんですね。

 もしかしたら平成で21世紀の今でも同じなのかも知れないけれど、いかにも私ら昭和の子供たちが遊んでいたようなフィールドが遊びのアイテムや条件だけを微妙に変えて描かれている妙味。これって、子供たちの豊かな空想力の前では、世界はどんな時代でも同じ見え方なんだよ、って教えてくれているような優しさと説得力があるんですよ。

 この辺のテクニックとアイデアにおもわずウーン、と唸ってしまうのです。
 しかも!

 全部で26話のなかにそんな子供たちならではの遊びや生活、小さな喜びや発見、別れや出逢いをうま~く盛り込みながらも、物語はすこしづつうねるように核心へ、大きな謎の答えへと導かれてゆくのです。
 またこの世界の細かな設定も、理屈や説明的な台詞はできる限りナシにして見てゆくにつれて少しづつ「ああ!そういうことか!」と観客にも謎を発見する楽しみとして残してあるのがニクイ。(どっかの陰湿系自虐アニメみたいに意味不明を楽しむ、なんてことはありません)
 なにげなく見過ごしてしまいそうな小さなエピソードの中にも、そのヒントがうまく織り込まれていたりするから、もう一話たりとも見逃せないのです。

 そして、回を追うごとにだんだんヤサコが愛しく思えてくる。まさに生命を得たキャラクターになっていることに気づかされます。え、あなたはイサコ派ですか。…あらら、もしかしたらMですね?はい、私はハラケンにジェラシーを感じましたよ。

 はい、なんですか?あなた、まだサイバーって何かワカランって?それならここをごらんなさいよ。

 どうです?今からでも遅くありませんよ。なに、NHKのことです。今の再放送が済んでもまた演るでしょうし、同時にDVDもリリースして行ってるので、あなたもぜひこの懐かしくも不思議な電脳世界へ足を踏み入れてください。
 ただし。必ずちゃんと帰ってくるんですよ………

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 最後に。声の出演で、ヤサコの幼い妹の京子を演じているのがクレヨンしんちゃんでおなじみ矢島晶子さん。この京子ちゃんのマイブームがなんでも指を指して「うんち!」と叫ぶという設定なのは、やはり矢島さん、しんちゃんでシモネタは言い慣れているから?

 *イメージ画面は予告編および本編から拝借いたしました。

 『電脳コイル』公式サイト
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   『電脳コイルDVD』
    1~5巻発売中(以下続刊)

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 では、また、お逢いしましょうね。

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 最後まで読んでくださってありがとうございます。ちなみに私───
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コメント

うわー、小夏さんと同意見とは嬉しいなあ!
そうそう。『七瀬』シリーズや元祖『時をかける少女』『11人いる!』などですね。

ちなみに、途中どころか、最初から観てもすぐには解らないような作り方がイマドキのジャパニメーションの脚本です。
逆に言えば、途中から観ても少しづつ謎を解いてゆく楽しみもあるんですよ。
イサコ(勇子)が登場したところならま~だまだ序の序です。中盤まではヤサコたちの学園生活を通じての世界観のトレースと、伏線や子供たちの生活背景をじっくりと見せてゆきます。

これからですよ~。見逃さないでくださいね!

主題歌、泣けるでしょ。でも今のテレビアニメの主題歌、とんでもなく高レベルです。J-POPなんてメじゃないです。アニソン=ジャパニPOP最高です。

投稿: よろ川長TOM | 2008年1月10日 (木) 22:53

こんにちは。
ココでは初めまして。

あたしはハラケンスキーです♪
エンディング観てると泣けてくる・・・。
コイル大好きだぁ~

投稿: さくら | 2008年5月11日 (日) 15:22

や~~~、さくらさん!来た来た!ようこそ、私の映画の部屋へ。(*‾▽‾*)/

ごめんね、画像文字入力がめんどくさくって。m(_"_)m

ハラケンって私の小学生時代の親友の名前なんですよ。
最初はイマドキでないキャラデザインに驚くけど、だんだん可愛く見えてくるから不思議ですねえ。
今ではヤサコやイサコのミニスカに萌えてしまいますから困ったもんです。

投稿: よろ川長TOM | 2008年5月11日 (日) 21:22

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