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2006年8月26日 (土)

『FLYBOYS(フライボーイズ)』期待作公開決定!画面狭しと飛び回る本物のWW1ドッグファイト。

flyboys_poster.jpg
 はい、みなさんこんばんわ。
 さあ、筆者は嬉しくてウレシクて仕方ありませんよ。1986年の『ガンバス』以来20年ぶりに制作された本格複葉機映画最新作の登場です!!
 吹きっさらしのコクピット、息詰まる恐怖の真っ向ガチンコ空中戦。戦闘機の格闘戦(ドッグファイト)とはこれですね。ボタンでポンの近代ジェット機の単なる自動ミサイルの撃ち合いことは大違い。大好きな大好きな複葉機が画面狭しと飛び回る大空中戦を描いた青春映画が完成いたしました。
 この記事の初出は2006年8月26日だったんですが、公開は待つこと2007年11月。
 さあ、待った甲斐があったでしょうか…てなわけで、鑑賞後に書いた本番の記事はこちら(もちろんネタバレなし)
 あわせてお読みいただけるとありがたし。

   


『トップ・ガン』『ステルス』など最新鋭のジェット戦闘機が活躍する映画や、レシプロ(つまりプロペラ機)が登場する映画も過去に多く作られましたが、ほとんどは第二次世界大戦以降の航空機ばかり。
 一方、歴史的にも昨今では“忘れられた大戦”と呼ばれるまでに記憶も記録も薄れてしまった第一次世界大戦(1914年~18年、以下WW1)は、じつは戦車や潜水艦などと共に戦闘機・爆撃機といった近代兵器が次々と実戦に登場したハイテク戦争だったのです。
 しかしいかんせん、90年前の兵器や資料が無事に残っているのはスミソニアンなど限られた博物館だけ。これでは映画なんて夢のまた夢。いっそ『タイタニック』みたいに21世紀のCGで甦らせてくれないかとずっと願っていました。ところが何機か実機を甦らせてまで再現した映画が誕生したのです。すごいですね~~。

 とはいえ忘れられた戦争ですから、この映画を楽しむために航空機軍用化の歴史をおさらいしときましょうね。

 アメリカのライト兄弟によって動力付飛行機が実現したのが1903年。そしてWW1の勃発が1914年。前回『素晴らしきヒコーキ野郎』の項でお話したように生まれたての飛行機は飛ぶのもヨタヨタ、空中に浮いているのがやっとだったのですが、たった10年の間に実に安定した飛行に加えて、自在に飛び回るだけの強度と操縦性を持つに至ります。
 日露戦争を描いた『二百三高地』をご覧でしょうか。あれは1904年が舞台ですが、10年後のWW1開戦時でもまだ戦争の仕方は大差ありませんでした。つまり、大砲を撃ち合って、やがて兵隊が突っ込んでゆく肉弾戦です。敵の様子を知るにも、山のような高い土地から見下ろすとか、どこへ飛ばされるのか風まかせの気球に乗るか、あとは実際に命がけで偵察に行くしかなかったんですね。
 そこへ登場したのがひとっとびに敵陣へ飛んでいって偵察して帰って来られる飛行機です。

flyboys_02.jpg

 当時は飛行機そのものが最新ハイテクメカですから、まだ高射砲みたいな対空兵器がありません。もちろん銃を上に向けて撃つことはありますが、高く飛べば弾丸が届くこともありませんからね。
 そんなわけで開戦当初は敵情偵察が主な任務でしたが、やがて“行きがけの駄賃”とばかりに偵察ついでにレンガを投げ落としたのが始まりだと言われ、それはすぐに爆弾に変わります。爆撃はドイツ帝国の飛行船が先輩ですが、むしろ戦闘機の進化はそのまま飛行船撃退の決め手になります。すなわち機関銃の搭載です。

 そうなると次は迎撃という発想から、機関銃の有効活用の工夫。最初は翼の上に積んだけど、あさっての方角を狙っているようなもので命中精度は低い。二人乗りにして後ろ向けに銃座を置いたりもしたんですが、『インディ・ジョーンズ3』でショーン・コネリーがやってしまったみたいに自分の尾翼を打ち抜くドジもあったようです。
 そこでオランダ人のフォッカーという人が発明したのが、プロペラが銃口の前に来たときは引き金を引いても銃弾が出ない仕組み。理屈を聞けばどーってことないんですが、この発明のおかげで機関銃をパイロットの目線上に置くことができるようになります。

 このおかげで命中精度が格段に上がります。本格的な戦闘機の誕生ですね。これがだいたい大戦中頃なんですが10年かかってマトモに飛べるようになった飛行機はその後わずか2年ほどで凶暴な殺人マシーンへと変貌を遂げるのです。ああ、戦争は本当にこわいですね。


 余談が長くてすみません。
 でも“複葉機”という呼び方そのものが死語のようなものですから、ご存じの方が絶対楽しめると思うのでここはお許し下さいね。

flyboys_03.jpg

 さて肝心のお話は、実在したフランスのラファイエット飛行機中隊の物語。
 ごめんなさいね、ここでも歴史の知識があったほうがいいと思います。
 WW1は乱暴にはしょってしまえばドイツ・オーストリア帝国VSイギリス・フランスの戦争で、『翼よ、あれが巴里の灯だ』のチャールズ・リンドバーグも『華麗なるヒコーキ野郎』のウォルド・ペッパーも、アメリカ陸軍航空隊に入ってはいましたが結局実戦は経験しなかったように、アメリカは大戦後半に参戦するものの実戦参加はほとんどありません。
 だけど例外だったのがラファイエット飛行機中隊と呼ばれたアメリカ人によるフランス軍指揮下の航空隊。いわばアメリカ人で最初に空中戦を体験したパイロットたちだったんですね。この映画は実話をヒントにして彼らを描いた作品なのです。
 ちなみに筆者は未見なのですが、『ヤングインディ・ジョーンズ~大空の勇者たち』ではなんとインディがこの部隊に所属していたことになっているそうです。いわばインサイドストーリー。これは観なければなりませんね。


 監督のトニー・ビルは66歳、俳優でもある彼は73年に製作として参加した『スティング』、監督としては『マイ・ボディガード(80年)』『母の贈りもの(93年、キャシー・ベイツ主演)』など、ハートフルなものを多く手がけてきたベテラン監督さんですが、ここ数年はテレビシリーズの監督と俳優業ということで日本ではあまり露出していません。
 そんな彼はもともと飛行機が大好きで、14歳でグライダーの免許を取ってからレシプロ、水上機からジェット機を操る今に至るまでバリバリのヒコーキ野郎なんですね。
 いや、ヒコーキ大好きな筆者にはホントにうらやましい限りです。
 そんな飛ぶことを知り尽くし、愛している監督が産み出した念願の“ヒコーキ映画”がこの『フライ・ボーイズ』なのです。


 最初に『ガンバス』の名を挙げましたが、複葉機がドバドバ出てくるだけならレオナルド・ディカプリオ主演の『アビエイター(04年)』があります。でも飛行機が主役ではありませんね。

 当時の飛行機はエンジン周りなどの若干の金属部分を除けば木製の骨組みにバフと呼ばれるニス塗りの帆布張りのため、例えるなら提灯やハリボテですから、今の飛行機から比べるとものすごく華奢でもろいものです。
 にもかかわらず搭載する機関銃やエンジンはかなり大がかりで重く、いわばオバチャリ、それも前カゴに750cc並みのエンジンとバーベルを積んでいるようなもの。しかも機銃はしょっちゅう弾丸づまりを起こすし、エンジンもけっして安定したものではなく、無理して力任せに飛んでいるのでエンジンが止まればあとは真っ逆さまに落ちるしかないのです。
 パラシュートもありますが、今と同じで高度が足りないと逆に傘が開かない。かといって高度を上げると冷えるし空気が薄くなるのでエンジンが不調になる。ひどいもんです。

 機体のもろさをよく表す事柄として『華麗なるヒコーキ野郎』の中で主人公の親友が垂直上昇から宙返りできれば技術者として認められるから…と自作した飛行機に乗り命がけでそれに挑むシーンが印象的。
 その年代設定が1920年なのです。つまり今のアクロバット機なら普通にやってのけることさえも機体に無理のかかる危険な技。まして空中戦となるとどれ程危うかったかを心にとめて戦闘シーンを観ていただくと、パイロットたちの恐怖感がより伝わってくると思います。

 予告編を見た限りではちょっと機関銃発射の描写と飛行機の速度、集団で飛び交うときのかたまりかたが大げさな気がしますが、それ以外の複葉機の昆虫のように軽快な飛び方や、呼吸さえも遮られる風圧にさらされたコクピットのリアルな再現など、さすがヒコーキ野郎。「観客が操縦席に乗っている気分にさせたい」との監督の言がそのまま活かされた画面作りに大いに期待したいと思います。

 おっと、飛行機の話に夢中で俳優さんを紹介してませんね。主演に『スパイダーマン』『同・2』『同・3』ジェームズ・ディーンの生涯を描いた『DEEN』のジェームズ・フランコ、フランス軍の指揮官セノー大尉に先日三度目の結婚をはたしたジャン・レノ…あらら、すみません。現段階で公開されている公式サイトからは他にめぼしい俳優さんが見あたらないのです。

flyboys_01_1.jpg

 そのかわり(?)登場する飛行機はとにかく帆布の縫い目までしっかりリアルに再現。
 スマートな美しさで知られるフランス軍の主力ニューポール17、そしてガンダムのシャア少佐のヒントであり、赤い男爵(レッド・バロン)マンフレート・フォン・リヒトホーフェン機乗の三葉(三枚翼)で知られる名機フォッカーDr1。
 こちらはスヌーピーがWW1の撃墜王になりきっているときのライバルとしても知られていますね。とにかく最後の騎士ともいわれ、敵国である英仏からもいまだに英雄扱いされ尊敬されている元祖・大空のエースです。はたして彼が登場するのか、登場するなら誰が演じるのか?

 最後に筆者オススメの複葉機映画をリストアップ。

■『つばさ』1927年・サイレント映画の大作。

■『地獄の天使』1930年。あのディカプリオの『アビエイター』の劇中で制作されたのがコレ。とにかく現役で本物のWW1戦闘機が飛びまくるバブリーな作品。

■『翼よ、あれが巴里の灯だ』1957年。実話を元にした記録映画的な内容を監督のビリー・ワイルダーならではの脚本力でダイヤリータッチの緊迫感あふれる傑作になっている

■『ブルー・マックス』1966年。庶民出身で名誉欲に命を賭けるドイツ軍青年パイロットの非情な生き方を描く傑作。

■『レッド・バロン』文字通りリヒトホーフェンの自伝的映画だが多少フィクション性が高いのがマユツバ。

『素晴らしきヒコーキ野郎』1965年。前回記事参照。

■『華麗なるヒコーキ野郎』1975年、ロバート・レッドフォードの代表作のひとつ。アクション、脚本共に筆者シネマベスト10の超オススメ映画。放映予定があり次第記事にします。

■『ガンバス』1986年。ハチャメチャな低予算なのにアイデア満載でやたら楽しい空戦アクション映画。

 ああ、大好きな飛行機映画なので、ついつい長くなってしまいました。え?この頃どの記事もやたら長い?すみません、大好きな話は長くなってしまいますね。でもこれに懲りずにまたおいで下さいね。

 でわでわ、また。

 →鑑賞後に書いた本番の記事もお読みくださいね!(もちろんネタバレなし)

 *イメージ画面は『Flyboys』トレイラーほかから拝借いたしました。

(『Flyboys』米国公式サイトはDVD発売に伴い閉鎖になったようです)
 
 
 では、また、お逢いしましょうね。

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コメント

こんばんは.

ずいぶん前に,拙blogにコメントいただきましてありがとうございます.
つい先ほど気がつきました.(放置blogになっています.すみません.)

ぼくも飛行機が好きなのでこの映画,激しく見たいです.

CGだけではなく,実機が飛ぶところが見られるというのがイイですよね.

Newportは美しい機体なので劇場で観たいところです

では.

投稿: おけはざま | 2006年9月18日 (月) 21:04

foxbasealphaです。コメントいただきありがとうございます。たしかにリアリズム指向ではないけど、このころの空中戦は、ひいた映像でみるとヒラヒラしてますからね。でも娯楽作品としてはちょうどよい按配だと思います。

私は決して、公開前の作品を自宅で観てよろこぶような趣味はないんですけど、これは2006年前半にはDVD化されてたのに全然日本公開の音沙汰がなったんで、てっきりオクラ入りと思って観たものです。ちょっと、ネタバレ気味でしたらすいません。ともあれ、公開されることになりよかったです。是非、劇場で見直したいと思います。

投稿: foxbase | 2007年10月10日 (水) 22:31

インディのテレビシリーズもとてもテレビドラマと思えない良いつくりです。
レッドバロンことリヒトフォーヘン役の方が良く似ています。ロタールやアンドリュー・フォカーが出てくるところも作りこまれているなと思います。
しかし、このビデオ廃盤なのが惜しいです。オススメしたくても手に入らないんですよね。
複葉機の前にインディファンなので発売時に買っておいて良かった

投稿: ぺんてる | 2007年11月10日 (土) 18:43

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