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2005年4月18日 (月)

『アンドリューNDR114』邦題はまずいが中身は秀逸

Bicentennial_man01
 はい、みなさんこんばんわ。

 予告編や写真をご覧になると、ひょうきんな顔の、だけどどうにもぶさいくなロボットが出ていますね。『アイ、ロボット』『スターウォーズ』なんかとは対極のずんぐりむっくり体型。
 しかしどことなく、どっかで見たようなおっさん顔……。

 お話は家事手伝いの目的でも一般的にロボットが使われるようになった近未来。郊外に住む四人家族の家にお父さんが注文したロボットが届くところから始まります。
 しかしやってきたのは礼儀正しいのにどこかおどけたような、論理的なのになんとなく間抜けた雰囲気の、めったやたらによくしゃべる黄金色のロボットでした。


 最初はきもをつぶし、驚く家族。でもやがてロボットの誠実な仕事ぶりに少しづつ家族として受け入れるようになってゆきます。
 しかし最初の反抗期に入りかけている幼い娘だけは馴染んでくれません。
 そんなある日、アンドリューと名付けられたロボットは、不注意で幼い娘が大切にしていたガラス製の馬を壊してしまったことをきっかけに、何かが変わりはじめるのです…
 


Bicentennial_man03


 原題を『バイ・センテニアル・マン』と申します。小説版では“200年生きた男”と邦訳されていますが、原作はSF界の超大御所でロボットものの元祖、アイザック・アシモフの作品です。1992年に惜しくもこの世を去りましたが、かれこそがロボットという名前とその定義を世界史に残したことはご存知の通り。

 そしてこの映画、可笑しいのに切ない。切ない涙の中に笑いのある作品です。

 原題の“バイ・センテニアル”ということの意味は、“二世紀を生きた男”というよりも、二世紀にわたる、という意味に捉えた方が解りやすいかも知れません。
 昔からロボットものというジャンルは、ロボットを通して人間を描いているわけですが、この作品ではある意味で不死を得た男の話だとも言えます。

 しかしもし、自分だけが不死だった場合は幸せなのか、不幸なのか?
 不死の自分を残してまわりの友人たちはどんどんいなくなる、というのは長生きのお年寄りの共通の言葉ですが、彼の場合は彼よりずっと後に生まれた人たちでさえ彼より先に逝ってしまう孤独を何度も何度も味わうのです。
 そして最後に彼が望んだことは?このこともこの作品の大きなテーマでもあります。

Bicentennial_man02 もうひとつこの作品をご覧になった方が必ずと言っていいほど話題にされることに、ヒロインがアンドリューを愛してしまうことがあります。
 いくら人格を持っていても、機械を愛することができるだろうか?というものですが、純粋に愛情というものが相手の姿や形ではなくその“人格”を愛してしまうものだとしたら、これもひとつの愛情のカタチであるのかも知れません。

 これはアンドロイドを描く上で、永遠の命題でもありますね。


 おっと。この映画の優れた点は物語だけではありません。
 ビジュアル面ではとにかくさりげにゴージャスなんですね。あまりにも自然に未来社会を描いているんで、アメリカや日本の大都会ならありそうな風景ですらあるんですが、これがよく見るとどうしてどうして、一瞬のカットでもビックリするくらいお金がかかっている、というか創造性とリアリティに富んでいて細かいところまで凝りまくっています。
 オープニングフェチの私も、うーんと唸ってしまう粋なオープニングもお見のがしなく。

 最後にキャストとスタッフについて書かせてくださいね。

 主演はロビン・ウィリアムズ。そう、『ガープの世界』『ミセス・ダウト』『グッドモーニング・ベトナム』などなど、代表作を挙げたらキリがないあの俳優さんですね。
 その彼が今回なんと全身の着ぐるみを着て演じるのはアンドロイド。
 企画段階ではスーツアクターが演じるはずだったのを、彼が自分でやりたいと申し出たことで実現したそうですが、約16kgもあり、動きや視界の限られたアンドロイド・スーツを着ての演技はさすがのロビンもかなり苦労したとか。
 でも劇中で時代が進むに応じバージョンアップしてゆくにつれて、ロビンに“なって”ゆくのが面白いですね。
 
Bicentennial_man04
 
 また、助演のサム・ニールがじつにいい雰囲気でお父さんを演じています。
 最初にロボットが届くシーン、この辺の描写がまるで初めてテレビや自家用車が届いたような50年代のノリになっているところがなんとも微笑ましいのですね。どことなく昔のコカコーラのポスターのような構図なのも洒落かもしれません。
 そして父親のけったいな衝動買いに家族があきれるあたり、このへんも時代を超えて笑えますね。家族構成も夫婦に娘ふたり。
 アンドリューはお父さんにとって唯一、男の話ができる相手でもあるわけです。もっとも当初アンドリューに性別的な定義はありませんが、後に女の子型のロボットが出てくるからには、彼は男なのでしょう。

 ふたりで語り合うシーンはさながら老いた父と娘婿のよう。

 そして監督はいまや『ハリーポッターと賢者の石』で押しも押されもしない人気監督になったクリス・コロンバス。ロビン・ウィリアムズ主演『ミセス・ダウト』もこの監督ですね。

 製作には『第五惑星』『Uボート』の監督、ウォルフガング・ペーターゼンも名を連ねています。

 いま、深刻でも、ささやかでも、生き方を悩む人や明日に不安を抱いている人はぜひ観て欲しい。きっとなにか、心に光をそそいでくれる映画だと思います。
 見終わった後に爽やかな感動を与えてくれた作品です。


 では、また、お逢いしましょうね。

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コメント

コメントとトラバ返しありがとうございました~。
ウチにいただいたコメントにも返信しましたが、こちらでもお礼をいわせていただきますです。

投稿: Irana | 2005年4月25日 (月) 09:51

追伸です。
TOM さんのロード・オブ・ザ・リング評は無いんでしょうか…?
ちょっと読んでみたい気が…

投稿: Irana | 2005年4月25日 (月) 09:52

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